062.其の次は兵を伐つ :その次が、直接的な価格競争やシェア争いなど、正面からぶつかることである。?ビジネスでの意味や具体例などご紹介

062.其の次は兵を伐つ :その次が、直接的な価格競争やシェア争いなど、正面からぶつかることである。?ビジネスでの意味や具体例などご紹介

ビジネスにおいて、競合他社との戦い方に悩むことは少なくありません。
特に、市場での競争が激化する中で、どのような戦略を選択すべきか迷う場面があると思われます。

本記事では、古代中国の軍事思想家である孫子の教えに基づき、企業が直面する競争の段階について詳しく解説いたします。
この記事をお読みいただくことで、自社が現在どの競争段階にあるのかを客観的に把握し、今後の戦略立案に役立つ視点を得ることが可能と考えられます。

無用な消耗を避け、より有利な立場でビジネスを展開するためのヒントとして、ぜひ最後までご一読ください。

孫子の兵法における第3の戦略段階について

孫子の兵法における第3の戦略段階について
「062.其の次は兵を伐つ :その次が、直接的な価格競争やシェア争いなど、正面からぶつかることである。」という言葉は、孫子の兵法『謀攻篇』に記された戦略論の一部です。
結論から申し上げますと、この言葉は、ビジネスにおいて敵の策略を未然に防ぐことや、同盟関係を分断することができなかった場合に直面する、直接的な市場競争の段階を指しています。

現代のビジネス環境に置き換えると、競合他社と同じ市場で、似たような製品やサービスを展開し、価格の引き下げや大規模な広告投資によって顧客を奪い合う状態と考えられます。
孫子はこの「兵を伐つ」という戦い方を、最善の策とは位置づけていません。
しかし、決して「最後の手段」というわけではなく、より優れた戦略が実行できない場合の現実的な選択肢として提示しています。

企業としては、この段階に至る前に手を打つことが理想とされていますが、現実のビジネスにおいては多くの企業が直面せざるを得ない競争形態であると言えます。

直接的な競争が第3の選択肢とされる背景

直接的な競争が第3の選択肢とされる背景

孫子が提唱する4つの戦略階層

孫子の兵法では、戦い方の優先順位を4つの段階に分けて説明しています。
最上策から順に以下のようになります。

  • 上策:謀を伐つ - 敵の策を未然に防ぐ
  • 次策:交を伐つ - 敵の同盟関係を分断し孤立させる
  • 次策:兵を伐つ - 直接的な軍事衝突
  • 下策:城を攻む - 城攻め(やむを得ない場合のみ)

第一の「謀を伐つ」は、敵の意図や計画を察知し、それが実行される前に封じ込める戦い方です。
第二の「交を伐つ」は、敵の同盟関係や協力体制を分断し、孤立させる戦略を指します。
そして、第三に位置するのが「兵を伐つ」、すなわち直接的な武力衝突です。
最後の「城を攻む」は、多大な犠牲を伴うため、やむを得ない場合のみに行うべき下策とされています。

このように、直接的な衝突は上から3番目の次策として位置づけられており、事前の策を講じ尽くした後に選択されるべきものと考えられています。

直接競争がもたらす企業への消耗リスク

ビジネスにおいて「兵を伐つ」段階、つまり直接的な価格競争やシェア争いに突入することは、企業にとって大きな体力を消耗するリスクを伴います。

例えば、競合他社との価格競争が激化した場合、利益率の低下は避けられません。
また、シェアを獲得するために過剰な広告宣伝費を投じたり、営業人員を増員したりすることで、経営資源が急速に失われる可能性があります。

正面からのぶつかり合いは、勝者であっても深い傷を負うことが多く、長期的な企業の成長を阻害する要因になり得ると専門家は指摘しています。
そのため、可能な限りこの段階での競争を回避し、競合が存在しない市場を開拓するブルーオーシャン戦略や、独自の強みを打ち出す差別化戦略が推奨される傾向にあります。

上位の戦略が実行できない場合の現実的な選択

一方で、「兵を伐つ」段階は、決して無意味な戦い方ではありません。
ビジネスの現場では、競合他社の新規参入を事前に防ぐ(謀を伐つ)ことや、相手のサプライチェーンや提携先を切り崩す(交を伐つ)ことが、法的な制約や市場環境の理由から困難なケースが多々存在します。

上位2つの戦略が実行できない場合、企業は市場で正面から戦う覚悟を決める必要があります。
この際重要なのは、無計画に価格競争に陥るのではなく、自社の強みを最大限に活かして局地的な勝利を目指すことです。
孫子の教えは、この段階に至ったとしても、冷静に戦況を分析し、最も効果的な方法でリソースを投入することの重要性を説いていると思われます。

ビジネスにおける直接競争の具体例3選

業界内での激しい価格競争の展開

最もわかりやすい「兵を伐つ」の具体例は、小売業やサービス業における激しい価格競争です。
同じ商圏内に同業他社が出店した場合、提供する商品やサービスに明確な違いがないと、消費者は「価格の安さ」を基準に選択する傾向があります。

このような状況下では、競合が値下げを行えば、自社も追随せざるを得なくなり、結果として業界全体の利益水準が低下するチキンレースに発展する可能性があります。
これはまさに両軍が正面から衝突し、兵力(資金力や体力)を削り合う状態であり、資本力に勝る企業が最終的に生き残る過酷な戦いと言えます。

限られた市場でのシェア奪取に向けた広告合戦

スマートフォンの通信キャリアや、インターネット上のプラットフォーム事業など、市場の規模が成熟しきっている業界でのシェア争いも該当します。
新規顧客の獲得が頭打ちになった市場では、競合他社の顧客を奪い取ることが成長の絶対条件となります。

そのため、各社は莫大な予算を投じてテレビCMやWeb広告を展開し、キャッシュバックやポイント還元などのキャンペーンを乱発します。
このようなマーケティング施策の応酬は、顧客にとってはメリットが大きいものの、企業側から見れば、自社の利益を削って敵の陣地(シェア)を奪いに行く直接的な武力衝突に他なりません。

類似機能を持つ新製品の同時リリースによる顧客の奪い合い

テクノロジー業界や家電業界において、競合企業がほぼ同時期に似たような機能を持つ新製品を発表するケースも、「兵を伐つ」典型的な例と考えられます。
事前の情報漏洩を防ぎ、相手の意表を突く(謀を伐つ)ことができず、結果として同じタイミングで市場の評価を仰ぐことになります。

この場合、製品のスペック、デザイン、価格、そして販売網の強さという、企業の総合的な「戦闘力」が直接比較されます。
消費者の限られた予算を巡って、営業現場や販売店での直接的な対決が繰り広げられるため、現場の負担は非常に大きくなる傾向があります。

競争戦略における位置づけと今後の対策

ここまで、孫子の兵法における「兵を伐つ」段階の意味と、ビジネスにおける具体的な競争形態について解説してまいりました。
「062.其の次は兵を伐つ :その次が、直接的な価格競争やシェア争いなど、正面からぶつかることである。」という教えは、企業が直面する競争のリアルな姿を描き出しています。

重要なポイントは、直接的な競争は企業に大きな消耗を強いるため避けるに越したことはないものの、決して「やってはいけない最悪の選択」ではないという点です。
「城を攻む」という破滅的な下策(例えば、圧倒的なシェアを持つガリバー企業に対し、無謀な価格戦を挑んで自滅するなど)に比べれば、まだ勝機を見出せる段階として位置づけられています。

企業は、自社が現在「兵を伐つ」段階にあると認識した場合、いかにしてその消耗戦から抜け出し、より上位の戦略(独自の価値創造や、新たな市場の開拓など)に移行できるかを模索することが求められます。

自社の戦略を見直し、最適な競争環境を構築するために

ビジネスにおいて、競合他社と正面からぶつかることは、時に避けられない試練です。
しかし、その戦いの中でただ消耗するのを待つ必要はありません。

もし現在、激しい価格競争やシェア争いに巻き込まれていると感じているのであれば、一度立ち止まり、孫子が示すさらに上位の戦略に目を向けてみてはいかがでしょうか。
敵の意図を先読みして独自のポジションを築くことや、新たなパートナーシップを結んで競争環境自体を変えるなど、取り得る選択肢はまだ残されている可能性があります。

現状の競争段階を客観的に把握できたこと自体が、次なる成長への大きな第一歩です。
自社の強みを改めて見つめ直し、消耗戦から抜け出すための新しい戦略を、今日から少しずつ組み立てていくことをお勧めいたします。

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